母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

2023-01-01から1年間の記事一覧

『イヤシノウタ』吉本ばなな

p.20 くよくよ考えたり、気取ったり、自分の良さを盛ったりしないような、そういう反射的な反応に関しても明快であれるような人生を歩みたい。 p.28 そのすばらしい笑顔を見ることができたのだから、人というものをまたほんの少し好きになることができるくら…

『体は全部知っている』吉本ばなな

『スプートニクの恋人』村上春樹

p.8 でもあえて凡庸な一般論を言わせてもらえるなら、我々の不完全な人生には、むだなことだっていくぶんは必要なのだ。もし不完全な人生からすべてのむだが消えてしまったら、それは不完全でさえなくなってしまう。 p.64 ぼくはまだ若かったから、その手の…

『映像のポエジア ー封印された時間』

p.23 発展することのない、いわば静的な緊張状態とでも言うべきもののなかで、情念は最大限の強さに達し、徐々に変化する場合よりも、いっそう明瞭に説得力を持って現れる。私がドストエフスキーを好きなのも、これを偏愛するゆえである。私により興味深いの…

『M/Tと森のフシギの物語』大江健三郎

p.26 祖母の話は面白いものの、あまりに不思議なところは、子供の聞き手を面白がらせるために部分的に作られた話ではないか、とも思ったことを覚えています。それでいてなんとも懐かしく、引きつけられるようであったのでした。このそれでいてということが、…

『身体の言い分』

再々再読くらい。 p.36 多チャンネルの人の場合は、それが深刻な矛盾にならないんですね。そういういろんなヴォイスの使い分けができる人の特徴は、メッセージのコンテつを首尾一貫させることよりも、コミュニケーシャンの回路を成り立たせることのほうが優…

『親孝行プレイ』みうらじゅん

p.20 心の問題はここでは詳述しない。しかし、そんな風に行動を起こしてみたとき、そしてその行動によって親が喜ぶ顔を見たとき、諸君の中で、心が次第に行動に追いついていくことを、私は知っている。

『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』みうらじゅん、リリー・フランキー

p.13 L:野球でも守備の時間は、自分たちは1点も取れませんからね。当たり前だけど守っている時間が長ければ長いほど、点を取られる可能性が高くなるわけじゃないですか。 p.15 L:だけど例えば、何年後かに車を買って、家を建てるって物質的な目標を立てて…

『とるにたらないものもの』江國香織

p.33 最たるものがカクテルだ。私はカクテルが好きでよくのみにいくのだけれど、カクテルの何が好きかというと、名前が好きなの。味はあんまり好きじゃない。 p.166 どの映画にも、いかにもぴったりの音楽がついていた。娼婦はたいていチャーミングだったし…

『映画の鑑賞 山崎まどか映画エッセイ集』 山崎まどか

p.8 映画を完全に手にすることなんて、きっとできないのだ。観客に残るのは、映画の記憶でしかない。ただ作品の記憶ではなく、それを見た時の自分や、見に行った場所や、映画が終わった後に見た風景を含む、その人だけの思い出だ。映画は観客の個人的なもの…

『悲しみよ こんにちは』サガン/朝吹登水子訳

p.8 私は砂の上に寝そべって、そのひとつかみを手ににぎり、指の間からやわらかい黄色のひとすじの紐のように流し落した。私はそれが時のように流れ過ぎて行くと自分に言い聞かせた。それは安易な考えだ。安易なことを考えるのは快いと自分に言い聞かせた。…

『成熟スイッチ』林真理子

しなやかだけど、したたかで、 おちゃめだけど、かくしんてき。 〜〜〜 とにかく矛盾するけど、 謙虚さには確かに自信が宿っていて、 愛嬌あるけどちょっと子憎たらしいみたいな。 読んでいて、 このバランス感覚こそが成熟なのではと、 思いつく。 軸が「素…

『考えるヒント3』小林秀雄

おそらく再再読ぐらい。特に「信じることと知ること」は度々読んでいるけど、久しぶりに読んでみた。大事なことを見失ってないか確認する。 〜〜〜 p.11 その話は正しいか正しくないか、つまり夫人が夢を見た時、たしかに夫は死んだか、それとも、夫は生きて…

『午後の曳航』三島由紀夫

p.97 他人の感情と他人の思い出のほうが、自分の存在よりもずっと重要だと感じることの、この悩ましい甘い自己放棄の裡に、竜二は一刻も早く姿を消してしまいたかった。

『7月24日通り』吉田修一

街に理想を重ねるように。 何も知らないから、想像できるように。 あるゆる人たちに、自分のイメージを重ねている。 だからこそ、逆もあるね。 あらゆる人たちのイメージを自分に重ねる。 それで飛び込めるときがある。 なかった勇気が湧いてくることがある…

『掃除婦のための手引き』ルシア・ベルリン/岸本佐知子訳