母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『モラトリアム人間を考える』小此木啓吾

p.11 もし、人間に「望むこと」と「叶えること」の二つしかなかったら人間は自滅するほかはない。「知ること」があってはじめて人間は生きのびることができる。そしてこのバルザックの警告は、そのまま、われわれ現代人に向けられるべきものである。なぜなら…

『Xへの手紙・私小説論』小林秀雄

『一ツの脳髄』 p.17 私は、母の病気の心配、自分の痛い神経衰弱、或る女との関係、家の物質上の不如意、等の事で困憊していた。私はその当時の事を書きたいと思った。然し書き出して見ると自分が物事を判然と視ていない事に驚いた。外界と区切りをつけた幕…

『存在の耐えられない軽さ』ミラン・クンデラ/千野栄一訳

p.8 永劫回帰の世界ではわれわれの一つ一つの動きに耐えがたい責任の重さがある。これがニーチェが永劫回帰という考えをもっとも重い荷物と呼んだ理由である。 もし永劫回帰が最大の重荷であるとすれば、われわれの人生というものはその状況の下では素晴らし…

『スモール・イズ・ビューティフル 人間中心の経済学』E・F・シューマッハー/小島慶三・酒井懋訳

p.27 工業文明は再生不能の資本をのんきに所得と思いこんで、それに頼っているのである。私は、そういう資本として三つのものをあげた。化石燃料と自然の許容度と人間性である。 p.44 科学・技術の方法や道具は、 ーーー安くてほとんどだれでも手に入れられ…

『私の幸福論』福田恒存

p.23 もちろん、長所のない人間などいるわけはありません。しかし弱点をとりかえそうとして、激しい気もちで長所の芽ばえにすがりつき、それを守ろうとすれば、かならずそこに歪みが生じます。自分は顔がまずい。だから、ひとに指一本さされぬよう、立派に生…