母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

『とるにたらないものもの』江國香織

p.33

最たるものがカクテルだ。私はカクテルが好きでよくのみにいくのだけれど、カクテルの何が好きかというと、名前が好きなの。味はあんまり好きじゃない。


p.166

どの映画にも、いかにもぴったりの音楽がついていた。娼婦はたいていチャーミングだったし、恰好いい男は滅多に結婚しなかった。

 

p.176

望まない情報にさらされることが苦痛である、という臆病かつ我儘な精神。好奇心のない子供みたいだ。

でもたぶんそのせいで、私は日々健やかに機嫌よく暮らしている。これは大事なことだと思う。