母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

『映像のポエジア ー封印された時間』

p.23

発展することのない、いわば静的な緊張状態とでも言うべきもののなかで、情念は最大限の強さに達し、徐々に変化する場合よりも、いっそう明瞭に説得力を持って現れる。私がドストエフスキーを好きなのも、これを偏愛するゆえである。私により興味深いのは、外見は静的にみえて、内面には自らをとらえる情念のエネルギーが張りつめている人物なのだ。

 

p.24

ともかくこの詩の論理は、論理的に首尾一貫した線的なプロットの展開によってイメージを関連づける伝統的なドラマトゥルギーよりも、私にずっと近いのだ。出来事のそのような、うるさいほど〈正確な〉関連づけは、普通、独断的な見込みと、抽象的な、ときに教訓的な判断に強制されて生まれる。またたとえ登場人物の性格がプロットを決定している場合でも、関係づけの論理は、人生の複雑さを単純化することに依拠している。