母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

『手の倫理』伊藤亜紗

p.30

興味深いのは、こうして石や木、物の性質を知っていくことが、フレーベルにおいては、「自分自身を知ること」へと折り返されていく点です。ものの意外な性質が引き出されることと、自分の中の意外な性質が引き出されることは、フレーベルにとってセットになった一つの出来事なのです。

 

p.40

道徳は、定まった答えや価値をなぞること、つまり「価値を生きること」が中心になるのに対し、倫理は「価値について考え抜くこと」をも含むのです。

 

p.41

考えるための道具を与え、考え方の可能性を広げるものとしての倫理。そのための方法としてウエストンがあげるのは、たとえば「ことばを慎重に選ぶ」もいうことです。

 

p.48

Be your whole self.

つまりそのチラシがうたっているのは、人と人のあいだにある多様性ではなくて、一人の人の中にある多様性なのでした。あるいはむしろ「無限性」と言ったほうがよいかもしれない。