母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

『新ハムレット』太宰治

どの話にも、作者自身の影が濃く写っているように感じてしまう。

それは、もしかしたら、気付いてほしがっているのかなってくらい。

目眩く出来事に向かうしなやかな人間の表情が印象的。

それを話に縮こめる時のアイロニー少々。

 

p.17

文化の果には、いつも大笑いのナンセンスが出現するようでございます。教養の、あらゆる道は、目的のない抱腹絶倒に通じて在るような気さえ致します。私はこの世で、いちばん不健康な、まっくらやみの女かもしれませぬけど、また、その故にこそ、最も高い、まことの健康、見せかけでない、たくましい朝を、知っているように存ぜられます。