母音で愛を語りましょう

私をとりまく、ぐるりのこと。

『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』バリー・ユアグロー / 柴田元幸訳

寓話かぁ。

闇の部分はドロドロで光の部分がトゲトゲ。

古いラジオから馬鹿に陽気な曲が流れているような、懐かしさと怖さ。

コロナvs思い出って感じ。

 

p.27

夏の晩の情景が、突如私の心の中に広がっていく。風通しのいい、素朴なバンガローのポーチの陰に生った果樹のあいだを蛍たちが舞っている。

悲しみの痛みが、突然、深く、私を刺す。私はため息をつく。ずっと昔の、どこか深くから湧いてくるため息。